1. 「兵は国の大事なり」:キャリアは人生の防衛線
『孫子の兵法』の冒頭は、「兵は国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」という言葉で始まります。戦争は国家の命運を分ける一大事であり、生死の境目である。
だからこそ、徹底的に考え抜かなければならないという意味で、『なんとかなるだろう』という甘い考えで動くことを厳しく戒める言葉です。
現代のエンジニアにとって、この「兵」に当たるものは何でしょうか?それは「キャリア」そのものと考えます。
「大事(兵)」: エンジニアとしての自分のキャリア(=人生)。
「死生の地」: アサインされる現場。そこが成長の場か、搾取の場か。
「存亡の道」: 40代、50代になった時に家族を養える市場価値があるかどうか。
エンジニアの世界において、給与の向上のためにはスキルを高めねばなりません。
そして、その給与は単なる数字ではなく、結婚、出産、住宅購入、親の介護といった「人生のライフイベント」を無事に通過するための軍資金でもあります。
キャリア戦略を誤ることは、人生という戦場において防衛線を突破することに等しいと考えられないでしょうか。
しかし、SESでは多くのエンジニアが、自分の意志とは無関係に「死地(成長のない環境)」へと送り込まれています。
2. 「死地」に留まるなかれ:ロースキルエンジニアは環境が作る
エンジニアがキャリアアップできない要因は、驚くほど共通しています。
- レガシー言語ばかりの長い経験
- メンバー数名の小規模案件のループ
- 短期案件の繰り返しによる「同じことの再生産」
- テストや運用保守という限定的な工程への固執
- 設計工程に触れられない環境
これらを指して、「本人の努力不足」と片付けるかもしれません。
しかし、現場の真実は違います。エンジニアは、なりたくてロースキルになっているわけではありません。
会社から言われるがままにアサインされ続けた結果、気がついた時には市場価値が低く転職もままならない。
これはSES業界に潜む「不条理」です。
孫子は「死地には則(すなわ)ち戦う」と説きましたが、それは最終手段。
本来なすべきことは、キャリアを死地に陥らせないことです。
エンジニアを「替えのきく部品」として扱い、目先の売上のために同じような現場へ放り込み続ける多くのSESは、死地に留まるを強要するに等しいのです。
3. 「小規模案件」という罠
よく面接では「何でも屋として要件定義からテストまで全部やってきました」というフルスタックを名乗るエンジニアに出会います。
しかし、技術質問を投げかけると、全く答えられずシステム開発の根本的な理解が欠けているケースが少なくありません。
その理由の多くは「小規模プロジェクト」という特殊な戦場に長く居すぎたことです。
数人規模のプロジェクトでは、個人の裁量が大きく、一見すると成長できるように思えます。
しかし、そこには「規律」や「標準化されたプロセス」が欠如していることが多いのです。
我流のマネジメントや設計は、数名のチームの中では通用しても、外部の戦場(大規模・高度な大手案件)では全く通用しません。
ゆえに、イズムでは規模数人の案件や短期プロジェクトは原則として受けません。
我々が目指すのは、100人月クラス、あるいはチームメンバーが20人を超えるような、エンジニアのキャリアになるる経験が積めるプロジェクト。
そこでの基本設計や要件定義を経験して初めて、エンジニアは「どこへ行っても通用する、シニアになっても若手に負けないキャリア」を得ることができます。
4. 「勝兵はまず勝ちて、而る後に戦いを求む」
古来より勝利を得る者は戦う前にすでに勝機を作っています。
イズムにおけるキャリアアップも同じです。
多くのSES企業において、営業のゴールは「アサイン」です。エンジニアが現場に決まれば、その後のスキルアップやキャリアパスは二の次です。
つまりエンジニアは「行き当たりばったりの行軍」を強いられることになります。
イズムの戦略は異なり、来年を見据えたアサインを今年行うことで階段を上るようにキャリアアップを計ります。
まずは1億円規模以上のプロジェクトで、基本設計から一人称で完結できる実力を養います。
その経験を糧に、次に要件定義とPL(プロジェクトリーダー)まで登る。
この計画を支えるのは、精神論ではなく「仕組み」です。 イズムでは、営業担当者に対して「エンジニアの単価アップ」を目標として持たせています。
エンジニアが成長し、より高度な工程を担い、単価が上がること。それが営業の評価に直結する。
この「道(経営・営業・エンジニアの利害一致)」があるからこそ、計画的なアサインが可能になるのです。
5. 「技術質問」について
イズムの面接では、具体的な技術質問を投げかけますが、答えられない方も多くおります。
つまりこれまで「どういう思想の会社で、どういう扱いを受けてきたか」という背景を垣間見ることとなります。
システム開発は非常に高度な仕事です。本来、年齢や経験年数に応じて、習得すべき武器(スキル)と、それに見合った報酬(給与)は右肩上がりでなければなりません。
しかし、面接に来る方の中には、経験年数は10年を超えていても、実力が経験年数に伴っていないケースが多々あります。
それはなぜか。 「アサインすること自体が成果」と考える会社に身を置き、行き当たりばったりのアサインに人生を委ねてしまった結果、市場価値の低い「ロースキルエンジニア」となってしまった、ためです。
これは本人の怠慢ではなく、キャリアを設計できなかった「環境の敗北」です。
6. 仕組みで勝敗を決める
「百戦百勝は、善の善なる者に非ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり(戦わずして勝つのが最善である)」という言葉があります。
これは「楽をして勝つ」という意味ではありません。
戦いが始まる前に、勝てるだけの圧倒的な「利」のある状況を作っておくということです。
エンジニア個人の努力(戦い)だけで年収を上げるのには限界があります。
- 本人がどれだけ設計をやりたくても、会社に設計案件がなければ「ロースキル化=死地」です。
- 本人がどれだけ単価を上げたくても、営業にそのインセンティブがなければ「営業は動かず=空論」です。
イズムの「戦わずして勝つ」戦略とは、エンジニアが現場で泥臭い交渉をせずとも、「キャリアが上がる仕組み」を会社側に実装しておくことです。
具体的には、営業に対して「エンジニアの単価UP」を目標として持たせています。
営業が自分の評価を上げるためには、エンジニアを一つ上の工程へ、高い単価の案件へと送り出さなければならない。つまり、エンジニアが「今の現場でいいや」と停滞しようとしても、会社側の仕組みがそれを許さず、次なる成長のステージ(高単価案件)へと押し上げる。
戦場(現場)に立つ前に、すでに勝利(キャリアアップ)へのルートが舗装されている。これこそが、イズムが考える「善の善なる者」の戦い方です。
7. 結び:ライフイベントを、戦略で乗り越える
「エンジニアのキャリアアップ」を美辞麗句で飾るつもりはありません。 我々が給与UPにこだわるのは、君に人生のライフイベントを安心してこなしてほしいからです。結婚、出産、育児。それらを支えるのは、現実的な「年収」です。
詳細設計から基本設計へ。20人規模のチームリーダーから、要件定義を担うPMへ。 階段を一段飛ばしで登ることはできません。しかし、イズムという「仕組み」を使えば、確実に、そして最短距離でその階段を登り切ることができます。
同じような案件に何年もアサインされ続け、消耗していく人生を選ぶのか。 それとも、来年を見据えた戦略的なアサインによって、自分の市場価値を「仕組み」で高めていくのか。
あなたの持っている技術という刀を、どこで、誰のために振るうべきか。
その決断こそが、人生という戦局を左右する最初の一手になるとは言えないでしょうか。

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