【SESの闇】「待機中も給与保証」の裏に潜む罠。エンジニアが知るべき「実質減額」のカラクリ

1. SESの「待機」について

IT業界、特にSES(システムエンジニアリングサービス)の世界において、「案件待機」はエンジニアにとっても会社にとっても避けたい事態。
しかし、どれほど優秀なエンジニアであっても、プロジェクトの終了タイミングと次案件の開始時期が完全に一致するとは限らず、景気の変動、顧客の予算編成、あるいは予期せぬプロジェクトの中止によって、「空白の期間=待機」が発生する可能性はゼロではありません。

昨今多くのSES企業は、求人票に「待機中も給与保証あり」と記載しています。
しかし、その言葉を額面通りに受け取って入社した結果、いざ待機が発生した際に「聞いていた話と違う」と絶望するエンジニアが非常に多いです。

今回は、SES業界に蔓延する「待機中の減額スキーム」の説明とともに、エンジニアが人生を預けるに足る誠実な会社を見極めるためのポイントを深掘りします。

2. 待機は「エンジニアの責任」なのか?

まず大前提として明確にしておきたいのは、そもそも「待機はエンジニアの責任ではない」ということです。

SESビジネスの本質は、エンジニアの技術力を提供し、その稼働時間に対して対価を得るものです。
案件が決まらない理由は、多くの場合、会社の営業力不足、マッチング精度の低さ、あるいは市場動向の読み違えにあります。

エンジニアは待機中であっても、会社からの指示を待つ「業務時間内」にあり、自己研鑽や次の案件への準備を行う義務を負っています。
ということは、案件アサインに関わらず給与は支給されるべきということになります。
待機で給与を削るという行為は、営業リスクをエンジニアに一方的に押し付けていることに他なりません。

3. 「給与100%支給」の裏に隠された3つの罠

「待機中も給与を保証します」という言葉には、巧妙な逃げ道が用意されていることが多々あります。
SESでよくある代表的な3つのパターンを紹介します。

① 「基本給」を悪用した計算マジック

もっとも多いのが、労働基準法で定められた「休業手当(平均賃金の6割以上)」を「独自の解釈」で運用するケースです。

よくある説明に「待機中は基本給の6割を支給します」というものがあります。
一見、法律を守っているように見えますが、ここに罠があります。
労働者の給与は、基本給だけでなく、職能手当、役職手当、固定残業代など、さまざまな名目の手当で構成されています。これを利用してSESでは待機時は基本給の6割支給にして支払いを節約するケースが多いのです。

例: 月給30万円(基本給15万円+諸手当15万円)のエンジニアの場合、 悪質な会社では「基本給15万円の6割」である「9万円」しか支給しないことがあります。さらに、ここから「勤務日数20日分」を日割り計算で掛けるといった独自のロジックを加える場合もあり、最終的な手取りが通常の4割以下、生活が成り立たないレベルまで落ち込むケースが実在します。

② 賞与(ボーナス)での「事後精算」

月々の給与明細上は100%支給されているように見えても、安心はできません。
待機期間があったことを理由に、賞与の査定を大幅に下げる会社があります。
年収の14分割を毎月支給&賞与月2回は1か月分プラス、としている会社は多くあります(イズムも同じです)。

しかし「待機期間中は売上に貢献していないのだから、賞与が減るのは当然だ」という理屈でこれを減らすケースをよく見かけます。
しかし、これでは結局、待機中の不足分を後から回収されているのと同じです。

待機が発生した瞬間にトータルの年収(理論年収)は崩壊します。
毎年営業の都合で年収が増減することは「100%支給」という言葉に対する明確な裏切りではないでしょうか。

③ 「有給休暇」の強制使用

また、待機が発生した際に会社から「とりあえず有給を使って休んでおいて」と促されるパターンがあります。
有給休暇は労働者の権利であり、会社が勝手に消化先を決めることはできません。
この場合待機が1か月(20日)を超えたらどうなるでしょうか。次は給与を減らしてくることは想像できます。

4. 待機で減給する会社が抱える「構造的問題」

なぜ、待機で給与を減らす会社が存在するのでしょうか。それは多くの場合ビジネスモデル上、やむを得ないことです。

  • 極端な高還元SESというビジネスモデル 
    還元率を上げてエンジニアを大量に集め、短期間で巨額の売り上げを計上。敏腕経営者の人気企業に見せかけ更にエンジニアを集め、膨張するケースがあります。会社にとって一人当たりの利益が少ないということは一人の待機が大きな負担になるということ。流れ作業のようにアサインしている場合が多く、単価も低いとなおさらです。※SES起業を促す情報商材の中には、集めるだけ集めた挙句会社ごと売却するビジネスモデルもあり、アンモラルどころではありません
  • コストカットの結果営業力が低い
    コストカットの結果営業メンバーが少ないと、待機者の営業に追われ新規開拓もできず商流が深く、流れ作業の提案となります。営業担当者が案件を開拓する努力ができない会社では、エンジニアが待機になることを極端に恐れ、エンジニアの給与カットすることで補おうとします。
  • 低単価・薄利多売のビジネス 
    単価は利益に直結します。単価が低い会社は、1ヶ月の待機が発生しただけで、そのエンジニアから得られる年間利益が吹き飛んでしまいます。高還元の結果、ギリギリの経営状況では待機者に満額支払う体力はありません。
  • エンジニアを「在庫」と捉えている 
    エンジニア一人ひとりのキャリアプランや人生を考えず、単なる「稼働率」という数字でしか見ていない経営者は稼働していないエンジニアを「不良在庫」と同じように扱い、コストカットの対象にします。

このような環境で営業は「早く案件を決めなければ」という焦りから、エンジニアのキャリアにとってプラスにならない、あるいは労働条件の悪い案件でも無理にアサインしてしまうという負のスパイラルに陥ります。

キャリアの初期に経験していたC言語、VB系、汎用機系、運用・保守…なんでもいいのでとりあえず、「繋ぎ」と称してアサインしようとしてきますが、一度これを受け入れてしまえば再度モダンな言語に復帰できる保証はありません。
営業が楽な案件へどんどんアサインハードルが下がり、気づいたら規模の小さいレガシー言語の運用保守としてのキャリアが固定されてしまうのです。

5. イズムが「本当の100%満額支給」を貫く理由

私たち株式会社イズム(Ism)では、待機が発生した際も給与を100%満額支給し、待機が賞与や年収や評価に一切の影響を与えないことを徹底しています。

なぜここにこだわっているのか。

エンジニアの「心理的安全」は企業理念と直結している

「次の案件が決まらなかったら生活が苦しくなる」という不安を抱えながら働くことは、エンジニアの心理的安全性を毀損しています。
それはイズムの企業理念『全従業員の物心両面の幸福を追求し、お客様に一番信頼される存在となる』にそぐわないことです。

イズムは【ライフプランを実現し、幸せな人生を送ってほしい】思いで運営されています。
そのために計画的なキャリアアップ=年収UPと給与保障は欠かせません。
イズムでは待機は お金の心配をせずに、次の現場で活かせる自己研鑽に集中できる時間です。

結果的に「心のゆとり」を持てることで、プライベートが安定し、エンジニアが中長期的に成長し、結果として会社の価値を高めてくれると確信しています。

営業の責任をエンジニアに転嫁しない

待機が発生したのは、営業戦略や時勢的なマッチングの問題です。
エンジニアに非がない以上、そのコストは会社が負担すべき「営業コスト」ではないでしょうか

イズムでは、代表の理念に基づき、エンジニアとの誠実な関係を築くことを最優先としています。
短期的な利益を追ってエンジニアの信頼を失うことは、会社にとって最大の損失だと考えています。

質の高いマッチングへの自信

「100%支給」を維持するためには、当然ながら高い稼働率と営業力が求められます。
イズムでは、単に「空いているから入れる」のではなく、エンジニアのキャリアアップに繋がる案件を厳選してマッチングしています。
エンジニアが納得して働ける現場であれば、自然と長期稼働に繋がり、待機リスクも最小限に抑えられます。
この好循環があるからこそ、満額支給という約束を守り続けることができるのです。

6. SESの面接で必ず確認すべき「採用担当者が嫌がる質問」

もしあなたが今、転職を考えているなら、面接の場で以下の質問をぶつけてみてください。
ここで明確な回答が得られない会社は、避けたほうが賢明です。

  1. 「待機中の給与は、基本給だけでなく諸手当も含めた『月給の100%』が支給されますか?」
  2. 「待機期間があった場合、年収が減ることはありませんか?」
  3. 「待機期間があった場合、賞与の査定や昇給に具体的にどのような影響が出ますか?」
  4. 「待機時の給与計算式が明文化された規定(就業規則など)を見せていただけますか?」
  5. 「直近1年で待機が発生した方はいますか?その際、給与はどう処理されましたか?」

「基本的には保証します」「ケースバイケースです」といった曖昧な返答は要注意です。
「100%支給」と「満額支給」は会社側の解釈次第で大違いです。
特に、計算式の分母が「基本給」になっているのか「諸手当も含めた総額」になっているのかは、生活に直結する死活問題です。

7. 安心して働ける会社を選ぶ重要性

エンジニアという職業は、常に新しい技術を学び、現場の課題を解決し続ける仕事です。
会社側の都合である「待機」によって生活を脅かされるようなことがあってはなりません。

SES業界には、まだまだ古い体質や不透明なルールが残っています。
しかし、イズムのようにエンジニアのキャリアアップと生活を第一に考え、透明性の高い経営を行っている会社も徐々に増えています。

表面的な数字(還元率や年収例)だけに惑わされないでください。
いざという時、会社があなたをどう守ってくれるのか。
その「誠実さ」こそが、長く安心してエンジニアとして活躍し続けるための、もっとも重要な条件なのです。

待機中の給与に不安を感じている方、今の会社の対応に疑問を持っている方は、ぜひ一度イズムに相談に来てください。私たちは、あなたの技術と人生を、言葉通り「100%」大切にすることをお約束します。

今まで多くのSESエンジニアと面接をしてきましたが、「100%支給と聞いていたのに、実際は手当を抜かれて生活が苦しい」という声の多さに驚かされました。
エンジニアのキャリアを「キャリアアップ」させるためには、まず足元の生活が安定していることが不可欠です。
イズムは、業界の「当たり前」を疑い、真にエンジニアに寄り添う組織であり続けたいと考えています。

(続)「社員の配置転換」が予兆する、SES業界の変化

労働者の同意を得ない配置転換(配転命令)が法的に正当化されるかどうかは、日本の労働法において非常に重要なテーマです。 結論から言えば、「就業規則」に配転の根拠があり、かつ「権利の濫用」に当たらない限り、会社側は個別の同意 […]

RIZAPグループ「社員の配置転換」が予兆する、SES業界の変化

2026年4月、日本の労働市場に激震が走りました。RIZAPグループが、グループ全体の約1割に相当する約500人の従業員を、新会社「RIZAP建設」へと段階的に配置転換するという発表です。一見すると「本業が苦しいのか?」 […]

技術力だけでは足りない。AI時代に“希少価値”が上がるエンジニアについて

エンジニアの「価値」が再定義される時代 テクノロジーの進化、特にAIによる自動生成技術の台頭は、エンジニアのあり方を根本から揺さぶっています。かつては「仕様書通りにコードを書く」こと自体が価値でしたが、今や単純な実装能力 […]

Comments are closed